ハンドパン道場(DoJo)オープン

イントロダクション

ハンドパン購入後に演奏方法がわからない。教えてくれる先生が近くにいない方、是非オンラインで学習しまししょう。

もちろん近くに上手な方がいる場合は、お願いしてマンツーマンで習うのが一番早いです。国内では音大を卒業された森田 収さん(東京)が精力的に活動されています。

Youtubeにオンラインレッスン(英語)がアップロードされていますが、まだ体系的に譜面表記などが統一されておらず、何よりも初心者に対応しているレッスンがとても少ないです。まずは音を綺麗に共振(resonance )させるタッチを習得することが最初のステップです。

今回の記事内容ですが、前半では基本的な叩き方やJacob Cole氏による一般公開されているレッスン動画の解説。中盤では2017年12月に開講したばかりのDavid Kuckhermann氏によるハンドパン道場(Handpan Dojo)について詳しく紹介致します。後半ではColin Foulke氏による簡単な作曲構造、最終稿では菊地成孔氏のモダンポリリズムより複合拍子について紹介しています。

本稿ではハンドパンを購入後、基本的な鳴らし方を身に付け、感覚で楽しく遊べるレベルまで上げることを目的としています。またハンドパンだけでなく、Rav Drumなどのタンドラム、スリットドラム系などにも応用が効きます。ぜひご参考下さい。

それでは楽しいハンドパンの世界へ侵入していきましょう!

Sam Maher – Fremantle Handpan(AUS,2016)
Asachan YshaSavita
(C# / G# C C# D# F F# G# C#)

Youtubeチャンネルを正式にスタート!

ハンドパンの置き方

《各名称》
Gu Sideハンドパンの裏面。
Ding Side
ハンドパンの表面。
Ding中央の一番中心にある凸起部分。
*Dingがスケールの根音となる。
Tonefield音を鳴る○部分。
*DingもTonefieldの一つ
DimpleTonefiledのさらに中にある○部分。

大きいノート(低音)が自分のおへそ側に、小さいノート(高音)が膝側にくるようにセッティングするのが一般的です。

プレイ内容によって反対にしたり、90度ずらしたりと決まったルールはありません。ここではチューニングされたスケールを低音から高音へ向けて弾いていくために、とりあえずこの置き方で進めていきましょう。スケールチェックをするときは一番低音の (Ding) / 1 , 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8と鳴らしていきます。


出典:PANArt Original Hang

ジャンベなど打楽器の底面は空洞になっていることが多いです。これは打面から底面へと空気が流れることで抜けの良い音が出るからです。

ハンドパンの底部分(Gu Hole)の穴から空気が通るように設置しましょう。太ももの上に乗せて演奏する場合、股を少し開いて空洞を確保するのです。

【スタンドを使用したい場合】

あぐらや椅子に座って演奏することで腰痛を心配される方、スタンドを使用することで解決します。立演奏では、裏面(Gu Side)との接触面積を最小限にしたスタンドが共振(resonance)を妨げず良いと思います。

2017年末にはAviot社(イスラエル)よりハンドパン専用スタンドがリリースされました。しかし、日本ではまだ入手困難

The Pantam Stand – Official Video(IL,2017)

代替品としてコンガスタンドはPantam Standに似ていて使い勝手が良いです。特にPLAYTECH社のコンガスタンドDGS100が安定感もあり好評です。高さと角度も調整機能があり、軽量、そして2個セットです。サウンドハウスなら5000円ほど。

サウンドハウスでみる
DGS100 (PLAYTECH)
サウンドハウスでみる三重県津市で開催しているThe First Touchで使用しています。
ハンドパン奏者Yassan氏所有のもの。
https://blog.latelier-maru.com/first_touch/
と、ここまで前置きが長くなってしまいましたが、次項ではハンドパンのチューニングについて考察していきます。

ハンドパンの音色 – 3つチューニング –

ハンドパンの音色はどうしてこんなに独特なのでしょうか?1つの打面(Tonefiled)に対して3つ音が鳴るようにチューニングされていることが関係しています。南インド打楽器ガタム演奏者で、ハンドパン奏者でもあるサカンさんがTwitterで以下のように説明しています。

ハンドパンの独特な音の秘密は、1つの打面につき3種類の音がでるチューニングによるもの。1箇所叩いただけでギターのコードを弾いたような和音が出せる。(ハンドパンの音の秘密)より サカン@世界の打楽器

打面(Tonefiled)を拡大すると卵型(楕円状)。
卵の上下:1オクターブ上の音
卵の左右:オクターブにさらに5度高い音
と、チューニングされています。

例えばTonefieldのC5(ド)をチューニングには下記3つ音が含まれています。

根音:C5
8度(オクターブ):C6
5度(オクターブ+5度):G6

ハンドパンの1つノートを叩くことは3つの鍵盤を同時に押して和音(ハーモニー)を出すこと。さらに薄いスティールが揺れることで倍音が加わります。

この独特な音色は一般的なチューナー機器では正しく測ることが難しく、「Linotune」というハンドパン専用のチューニングソフト(有料)を使用することで正確に測ることができます。チューナーを目指されている方はぜひ購入しましょう。(299EUR – 約4万円)

出典:Linotune公式より
3つの音量バランスはC5(根音)が80%ぐらい、C6(オクターブ)が15%、G6(オクターブ+5度)が5%ぐらいの割合でしょうか。しかしながら、ほんの数パーセントの割合でオクターブ音量が入るだけで音色の膨らみがガラリと変わるのがハンドパン。さらに周波数をの設定などを含めると、まさにここが世界中のチューナーさんの個性の見せどころです。

プレイヤーから見れば、タッチによって音量や音の長さに変化をつけることができます。次項では基本タッチ習得について、さらには潜在的なオクターブを個別で呼び出す奏法についても紹介します。

ハンドパンのタッチ

まずは綺麗に音を出すところから始めていきましょう。ハンドパンは繊細な楽器。強く叩くのではなく、必要最小限の力で最大音量の響きが広がることを意識してみましょう。

音を良く響かせるコツは軽くタップすること。スナップを利かすことも大事ですが、勢い余って強く叩いてしまうのはよくないです。叩く力と引く力が同等になるようバウンスさせる感覚指を離さなければ音が広がらず、倍音がパンの中にこもってしまいミュートされてしまいます

大袈裟ですが、最初はタップした瞬間に自分の手がバウンドして跳ね返り宙に浮いてしまうぐらいの気持ちでソフトタッチを練習しましょう。

ハンドパン奏者であるtakeshiさんはTwitterで以下のように紹介してくれています。

金属なのでついペチペチ叩いてしまいがちですが、水面を叩いていると思うととても腑に落ちます。「しぶきを立てずに輪を作る」ぜひお風呂場でイメトレしてみましょう。

それでは実際に叩いてみましょう。

How to Strike Tonefiled(Japan,2018)
Sonobe YshaSavita
(C# / G# C C# D# F F# G# C#)

【メモ】

Tonefiled(周囲○部分)内にあるDimple(凹の○部分)周辺が綺麗で澄んだ音が鳴る。
– 外側にいくほどメタリック音へと変わる。
– 第一関節を曲げてDimple周辺をコツコツ叩くことで音程あるミュート音が鳴る。
– 打面の180度部分をもう片方の指で抑えて叩くこと8度高いノートが鳴る。8度(オクターブ)
– 打面の90度部分をもう片方の指で抑えて叩くことでさらに5度高いノートが鳴る。5度(オクターブ+5度)

パーカッシブ系奏者は、メタリックな音(Tonefieldの外側)も抜けのある気持ち良い音が出るのかをチェックしましょう。

Handpan Pantam | Tips & Tricks #1(IL,2018)

2018年1月には、なんとKABEÇÃO氏によるハンドパン講座もオープンしました。こちらも第一回ではタッチによる音の響きをコントロールすることを説明しています。

指をすぐ離すことでデュレーション(音の長さ)を長くしたり、また敢えて指を離さないことでスタッカート奏法ができます。(ピアノのタッチと真逆になりますね。)よりパーカッシブな表現についても言及しています。このシリーズ今後が楽しみですね!

【まとめ】

音を綺麗に共振(resonance )させるタッチを習得することが最初の難関です。表現力のあるピアニストは音が遠く鳴っているように演奏したり、近くで大きく鳴っているようにと自由自在に表現できると言います。

綺麗に音を出すことは難しいですが、左右6本の指(親指、人差し指、中指)で1音1音自分の出したい「音量」「音の長さ」を調節できるように練習しておきましょう。

欧米ハンドパンコミュニティでは Percussive player(パーカッシブプレイヤー)Meditative player(瞑想的プレイヤー)というようにスタイルを分けている傾向があります。どちらにしても、それぞれの叩き方を習得しておくことで、迫力あるプレイから余韻を楽しむプレイまで表現が広がります。

2本指で叩く(8分,16分音符)

How to Play Handpan (Hangdrum) – Lesson1 – Double Stroke Striking(US,2013)
Harmonic Art

Jacob Cole氏(米国)のハンドパン講座。両手の「中指(middle finger)」と「人差し指(point finger)」だけでDing(中央凸部分)Tonefiled(周囲○部分)を連続でタップしましょう。

1拍を偶数で割りたいときに重宝します。Jacob Cole氏のデモプレイにあるように8分音符や16分音符をカバーできます。また中盤にあるように高速でタップしてドラムロールのようにもなります。

実はこのJacob氏の講座はLesson1として発表していますがやや難解。そのまま続けられる方はJacob氏のLesson2のアルペジオ(arpeggiate) [和音を分散し階段状に弾いていくこと] へ進んでください。

しかし、私にとってはLesson1ですらとても難しく感じてしまうのです。そう思っていた矢先2017年末にハンドパン道場(Handpan Dojo)が開講しました。

ハンドパン道場(Handpan Dojo)

イントロダクションでも紹介致しましたが、2017年12月にDavid Kuckhermann氏によるハンドパン道場(Handpan Dojo)が正式開講致しました。

ハンドパン道場【Handpan Dojo】
www.handpandojo.com/

Handpandojo.com – Learn to play Handpan Online(Ger,2018)

David Kuckhermann氏(ドイツ出身)はワールドパーカッショニスト。ハンドパン含めその他のパーカッションのレッスンDVDも多く発表しています。

2018年2月現在、2つのクラスが準備されています。価格は各99ドル。2セット同時でアンロックした場合180ドルとなっています。購入を躊躇されている方は、無料開放されているレッスンもたくさんあります。まずは会員登録をして各コースへ飛んでみましょう。

Level1【初心者から中級者へ】
www.handpandojo.com/beginner
Level2【中級者から上級者へ】
www.handpandojo.com/intermediate
英語解説のみとなってしまうのですが、言葉が分からなくても視聴覚的に分かるように編集されていますので安心して受講できると思います。
特筆すべきところはハンドパンの記譜法が革新的でシンプル、解りやすいところです。

大きいノート(低音)をおへそ側において、右側を奇数(1.3.5.7)左側を偶数(2,4,6,8)と数字をつけることで視界がグッと明確になりました。


西洋楽譜も同時に記されているところも嬉しいポイント。楽譜が読める方は絶対あった方がイメージが掴めると思います。

各章の終わりにはパートを1つにまとめて曲にしていきます。視覚的なフォローがあるのでどこを叩いているのかが見失いません。

インドや中東の打楽器奏法の影響も強いハンドパン 。西洋楽譜が不得意な変拍子などは積極的に[Ta Ki Te]などインド打楽器の記法を応用していきます。
おかげで指の動きがより明晰になっていきますね。さすがワールドパーカッションに精通したDavid Kuckhermann氏ならでは!

難解なレッスンにはコメントを入れて講師へ質問ができます(英語)。また新しいレッスン動画がアップデートされれば追加費用なく最新講義も受講することができます。

今まで多くのハンドパン講師たちが頭を抱えていた記譜法がDavid Kuckhermann氏たちによって解決されたのではと思います。全くゼロの初心者から上級者までオススメ。ハンドパンを購入して表舞台へ出られたい方は、ぜひプロの方から学びましょう。

Level1では6/8拍子、アルペジオ、3*2クロスリズム、 Maqsoum(中東リズム)、Chiftetelli (ギリシャリズム)など十分な内容です。全てのリズムパターンで基本的な和声進行も公開していますので、リズム習得後にはすぐに演奏にとりかかれます。

Level1【初心者から中級者へ】
www.handpandojo.com/beginner

さて、ハンドパン道場(DoJo)については一旦ここで終えて、次項では簡単な作曲基本構造について紹介していきます。

作曲 – 基本構造

Colin Foulke氏(米国)による簡単な作曲方法を解説した動画です。Colin Foulke氏はDavid Kuckhermann氏をゲストに迎えハンドパン教則DVDシリーズを発表(2012年)しています。まさにワークショップのプロとも呼べる方。現在ではDVD内容がそのままオンラインで視聴することができます。(有料)

World Percussion Academy
(99USD – Part1,2,3 full set)
https://wpa.worldpercussion.net/

Handpan How To – Basic Song Structure(US,2010)
PanArt 2gen integral D integral 8 (D/ A Bb C D F G A)


2010年辺りは欧州で急激に「ハングドラム」の地名度が爆発的に広まった年であり、中級者向けのレッスン動画も豊富。当時はトリックに関して多く発表されましたが、作曲構造の無料レクチャー動画は2018年現在でも貴重です。Tonefiled(周囲○部分)のみの楽曲のため他のスケールでも参考にできます。

イントロの3連4拍のアルペジオ(和音を分散し階段状に弾いていくこと)はまるでメジャー調ベートベンの月光のよう。中盤で2*3クロスリズムで弾みをつけていくところは当時のハンドパン一般的な作曲構造です。

キーはFの和音基本形:【ファ、ラ、ド (F、A、C) 】を第一転回したイントロ:【ラドファ、ラドファ、ラドファ(A、C、F) 、ラソファ(A、G、F)】と3連4拍で進んでいきます。

流れが分かるように譜面書き起こしをしましたので、動画と一緒に是非ご参考下さい。
(Full sheetsはこちらから【1MB】

【コラム】ハンドパンとDTM

上質なハンドパンの生音は最高です。それをサンプリングして楽曲にしたいというサウンドクリエーターも増えてくるでしょう。現代の音楽トップチャートはほとんどがコンピューターで打ち込みされたDTM(デスクトップミュージック)で創作されています。

アコースティックエレクトロニカというジャンルを切り開いた奇才Four Tet (イギリス)。2017年10月に彼が発表した『New Energy』はエレクトロミュージック好きが待ち望んだ2年振りのニューアルバムでした。中でもTrack5の「Lush」はハンドパンがサンプリングされています。

Four Tet – Lush(UK,2017)

正確に刻々と打ち込まれる4つ打ちビート。ベースラインが1小節につきほぼ1音で構成されることでゆったりとした波音のよう。深海ではハンドパンのワンループが鳴り響きます。

ハンドパン奏者が制作するとついその音が主役になりがちですが、彼はハンドパンを敢えて機械的にループさせ、機械音であるシンセやSEがまるで意思を持っているかのように拍の上で自由に動きまわることで全体がまとまり深遠な世界観が生まれていると思います。

Four Tet自身が製作秘話をTwitterで公開。ご友人のTom Baker氏が叩いたHangをなんとiPhoneで録音したそうです。

ダンスミュージックの大御所Four Tetがハンドパンでサウンドメイキングするとこのようになるのですね!

「Beat This」という10分以内に即興でビートメイキングするという人気シリーズがあります。Four TetはDTMソフトAbleton Liveを使用してMichael Jacksonの『Thriller』のLPからの全てサンプリングのみでビートメイキングしています。

チープなレコードプレイヤーとハイエンドなRME社のサウンドカードで妥協なくサンプル音を取り込んでいるのが印象的!

Beat This Episode 19 FOUR TET(UK,2014)


さて、最終項では2010年以降に注目されている複雑なリズムパターンについて紹介していきます。

リズムは自由  – 4からの解放 –

皆さまが普段耳にしている曲は何拍子なのでしょうか?90%以上が4拍子と言われています。さらに言うと4拍4連(16分音符)、4小節でメロディが展開、16小節(4の4倍)で1区切りつきます。初めて聴いた曲でもなんとなく体が揺れるのは「4」という共通前提があるからだと思います。

逆に言えば「4」に縛られているのではないのでしょうか?リズムはもっと自由なはず!意識的に「4」以外の曲や構成にも耳を傾けてみましょう。

Dave Brubeck – Take Five(US,1959)

1959年に発表されたDave Brubeck(デイヴ・ブルーベック)の名曲Take Five(テイクファイブ)はその名の通り5拍子の楽曲ですが、1小節を前3拍子と後ろ2拍子を交互に演奏することで5拍子を形成しているのが特徴的です。

出典:Dave Brubeck – Take Five (Sheet)

2010年頃(「ハングドラム」と呼ばれていた時代)から現在にかけてリズムに対するアプローチが変わりつつあります。俗にいう「変拍子(Odd Meters)」と呼ばれるリズムを追求するスタイルが新鮮さを持ち始めてきています。先ほど紹介したJacob Cole氏のハンドパン講座では「変拍子(Odd Meters)」の基本演奏方法について紹介しています。

Handpan Lesson #3 “Odd Meters”(US,2014)

【変拍子(Odd Meters)】

「変拍子(Odd Meters)」とはつまりOdd Number(奇数)でリズムを作っていくこと。Even Number(偶数)は綺麗に整数等分(even)できることから安定性があり演奏しやすいの対し、奇数は割り切れないため不安定性が残ります。

上記のJacob氏は1拍に3連,5連,7連などでデモ演奏を丁寧に披露してくれています。しかしこれらは全て連符として繋がっている状態。奇数割り(3.5.7連)の頭拍を抜いたり、間に「抜き」を入れるといったリズムフレーズは偶数割り(8分,16分)に比べ難しいのです。
方法について紹介しています。

もう一つの動画を見てみましょう。

Ayasa handpan in 5/8(US,2015)

1拍を5等分に割りながら2つ目と5つ目に「抜き」を入れることでよりGroovyなビートに変換されましたね!

タンタタン タンタタン タンタタン タンタタン

5連符のフレーズは馴染みがないかもしれません。この1本ネジが抜けたようなリズムは2010年以降にJazzだけでなくビートメイキングシーンでも定着してきています。その流れはハンドパンにも浸透しつつあります。

土台となるリズムが5連中心で組まれていれば、メロディが一般的な4連(16分)で乗せれば揺らぎが生じます。それは「4」と「5」という偶奇がぶつかるポリリズム。ハンドパンで作曲するときは是非こういったアプローチもチャレンジしてみて下さいね。

ここで強く強調しておきたいのですが、「難易度が高ければ素晴らしい」「難しいことをやっているから凄い」という価値観を押し付けているのではなく、2010年以降に欧米中心でリズム研究が熱心に行われているということ。プレイヤーの高飛車な姿勢はすぐにオーディエンスに伝わり、音楽を壊してしまいます。楽しむこと忘れずに!

I practice on 7/8 🙂 Two Omanа handpans(UAK,2017)
Omana Handpan
E Equinox 9 (E/ G B C D E Gb G A B)
C# minor (C#/ Ab A Db Eb E Ab B E)

【n+1のリズム】

菊池成孔氏によるモダンポリリズム(全92回)では50回目を境に「割るリズム」から「積むリズム」へと講義内容が変わっていきます。「割るリズム」については「バイリンガル脳のためのポリリズム講座」を一度ご参照下さい。

バイリンガル脳のためのポリリズム講座


第52回目の講義は無料開放されているのでぜひご覧ください!

菊地成孔 “ビュロー菊地チャンネル「モダンポリリズム講義 第52回」(Japan,2016)

【原曲】【割るリズム】【積むリズム】を比較考察していきます。特に講義中のVijay Iyer(ヴィジェイ・アイアー)のリズムアナリーゼは必見です。(24分〜)
ハイハットを打って13個分割された周期でループされているとわかると、

3拍4連 − 4拍3連のクロスリズムを基本形(12分割)に対し、

3*4基本形 (12分割)
【4拍子】 –  3 ・3 ・ 3 ・3
(タタタ・タタタ・タタタ・タタタ)
【3拍子】 –  4 ・4 ・ 4
(タタタタ・タタタタ・タタタタ)

ヴィジェイ・アイアーたちは1つのチップが積まれた状態で周期していると分析。

3*4基本形+1 (13分割)
【4拍子】 –  3 ・3 ・ 4 ・3
(タタタ・タタタ・タタタ・タタタ)
【3拍子】 –  5 ・4 ・ 4
(タタタタ・タタタタ・タタタタ)

そのチップが積まれた45は曲中にアドリブで移動するということ。Dave Brubeck – Take Fiveのような交互拍子ではなく、クロスリズム基本形に+1された形です。

プログレ的な感覚をGroove音楽に転化させたという意味で凄く新しい(26:00〜)

とても数学的ですよね。作曲者のヴィジェイ・アイアーは音楽の高等教育を受けておらず、理数系工学者だったというのも納得です。さらに、曲中にはチップが積まれていない通常の3を4へ変換したり、4を3へ変換したりと「ポリがけ」も挑戦されているということ。ぜひフルでどうぞ!

Vijay Iyer Trio ‘Human Nature’ | Live Studio Session(US,2011)

まとめ

まだまだ歴史が浅いハンドパン。既存楽器から輸入された奏法、またはハンドパンにしか出せない新しい演奏方法が次々と生まれています。基礎を反復練習しておくことが新しい奏法を吸収する素地となりうるのです。

また、ある意味ハンドパンの弱点でもある「限られた音数」。一般的なハンドパンは9音のみです。そのため旋律(メロディ)や和声進行(コード)もまた限られたパターンに陥ってしまっては楽しみも薄れますね。打開策はリズムパターンを掘ること。特にポリリズムは使い古されたフレーズに新鮮さを与えてくれます

AsaChan SaBye D(Europe,2014)
(D/ G A B C# D E F# A)


こちらはAsachanのD-major (Sabye D) スケールで3:4クロスリズムを意識して編曲されています。

イントロからAメロにはいると、ベース音は4拍子、メロディはゆったりとした3拍子で進行していくのですが、間奏1(46秒〜)では明確な3拍子になり、間奏2(1分14秒〜)からは明確な4拍子へと違和感なく入っていく箇所があります。単調なメロディなのですが、全く飽きずに何回もループで聴いてしまう楽曲です。

このようにリズムを掘ること、さらにリズムパターンを組み合わせることでハンドパンの弱点を積極的に強みに変えていくことができるなら、どんなスケールでも飽きずにずっと手元に置いておきたい楽器だと思うのです。楽しみながら毎日触って発見していきましょう。

Dan Mulqueen – Levels (Acoustic)(US,2018)
米国ニュージャージー州出身のDan Mulqueen氏の『Levels』
拍子の軸がぐらぐら揺れながら美しいメロディが進行していく。
1分
38秒からのサビは必聴。

Happy Handpan Life!

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