イントロダクション
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ハンドパンには「First Touch」という言葉があります。その名の通り、今まで触ったことのないスケールや工房のハンドパンを初めて触ること。
スケールを探りながらいろんなフレーズに挑戦していく様は「First Exploring(初探索)」とも言われます。
Kabecao氏がRav Drum(G Minor Pentatonic)を初めて触った時の動画をみてみましょう。
RAV Drum – “First Touch” (Portugal,2015)
ハンドパンとは違うRav特有のタッチ感やG2から始まるスケールを探りながら、2分50秒から突然メロディーが降臨してくる様子はゾクゾクしますね。
「初めての経験」というのは一度きりで、過ぎ去ってしまえばもう二度と戻ることはありません。
脳をフル回転して起承転結と最後に着地する様子は、まるで限られた時間内で書き上げなければいけない作文に似ているかもしれません。
このような新しい体験はきっとインスピレーション(一瞬のひらめき)が湧くと思います。今回の丸いブログではこのインスピレーションの刺激方法について考えていきましょう。
アーティストによるメソッド
本業アーティストの方々は作品を作り続けていかなければなりません。おそらく多くのアーティストは自分に合ったインスピレーションを誘う方法というのを持っていると思います。
ライフハッカーではコーチング講師Widrich氏の言葉を引用して下記のように紹介しています。
特定の問題に真剣に取り組んで長い1日を過ごしたあとにシャワーに飛び込んだ場合は、「アイデアのインキュベーション(孵化)期間」が始まりやすい。
(『何か思いつくのは決まってシャワーの中。これって別の時にできないの?』より)
もちろんシャワーをだけでなく、料理をすることだったり、ドライブであったり、日常的にルーティン化している行動では心がリラックスした半瞑想状態となり、インスピレーションに打たれることがあるのです。
例えばバイリンガルラッパーMeiso氏の場合 、
「インスピレーションを誘う方法」Meiso氏の場合。
ふとシャワーを浴びた時に突然雷が落ちてくるように曲が生まれるのを待つ方法。制作に時間はかかるが、クオリティは高い。これは受け身的。対して、誘う方法。
夜の街を徘徊する。「お酒」と「外に行く」という組み合わせ、はけっこう開く。 pic.twitter.com/s0ZfOjk38B— 丸いブログ (@marui_blog) March 23, 2019
Meiso氏は先ほどのシャワー中にインスピレーションが降ってくる状態を「待つ方法(受動的)」と考え、対して、自分から外に出て「誘う方法(能動的)」も実践しているようです。
続いて、テクノDJ / ProducerのAoki Takamasa氏の場合、
「音楽を作るインスピレーション」Aoki Takamasa氏の場合。
食べ物、会う人、街から、全部。特に友達とクラブでない場所で会うこと。制作に煮詰まった時はサーキット場へ。
エキサイティングな状況でも冷静さを保持。DJやライブに近い。
今に集中しながら体感を使って反射的に身体を動かしていく。 pic.twitter.com/9yGAtpojyp— 丸いブログ (@marui_blog) March 23, 2019
なるほど、インスピレーションというのは何気ない日常からふと湧くこともあれば、独自のルールを設けてインスピレーションを求めるよう意識的に行動していることが分かりますね!
規制を設けるビートメイキング企画が登場!
2010年以降、ビートメーカーの中でもインスピレーションを刺激する遊びが流行しています。
2011年には10分間という制約の下でビートメイキングする企画「Beat This」を皮切りに、2013年には「Against The Clock」(こちらも10分間でビートメイキング)などが登場。Four TetやSwindleなどが出演。
【Playlist】Beat This
【Playlist】Against The Clock
2013年には米国ヒップホップ youtubeチャンネル「Mass Appeal」から「Rhythm Roulette」という企画が発表。
Rhythm Roulette(リズムルーレット)とは、中古レコ屋で目隠しをして3枚レコードを購入し、それらをサンプリングしてビートメイキングしていく様子をドキュメントしたもの。若手からレジェンドまでヒップホッププロデューサーが幅広く出演。
【Playlist】Rhythm Roulette
国内では2011年に「1000YEN BEATS VINYL ATTACK!」というDVDが発売。中古レコードを1000円以内で購入してビートメイキング。EvisBeatsなどが出演。
【Trailer】1000YEN BEATS VINYL ATTACK!
2017年にtofubeats氏企画の「HARD-OFF BEATS」が正式にスタート。(2011年に実験的にスタート)
ハードオフでレコードを買い、曲を作る。制限時間内で楽曲を制作する番組。国内若手プロデューサーらが数多く出演。
【Playlist】HARD-OFF BEATS 2017春の陣
自分を掘り下げるプロセス
上記で紹介した動画では、意図的に規制された環境を設けて自分にどんな化学反応が起こるのかを実験しています。
これらは決して他者と比べるのではなく、自分を掘り下げるプロセス。アーティストたちは不自由な環境下で自分から生まれる反応や遊びゴコロをとても大事にします。
🎥WEEKLY OCHIAIアーカイブ
落合陽一×川谷絵音
『音楽をアップデートせよ』海外と比べて、日本でストリーミングが広がらない理由、音楽の定義と未来。更にSNS論まで。
二人の天才が、音楽業界の体質や日本人の音楽への向き合い方を語り尽くす。
全編視聴▶️ https://t.co/lddGvnX5l1 pic.twitter.com/NVBPhOEGyv
— NewsPicks (@NewsPicks) February 16, 2019
落合陽一氏:
「良い音楽人生とは、誰にも邪魔されずに音楽を作り続け、それを聞いてくれる人がいる状況があればそれで良い。」
The First Touch – ファーストタッチ –
この度、丸いブログを運営するアトリエマルではハンドパンをより深めたい方に向けて少人数制のイベントを企画することにしました。
【The First Touch : ファーストタッチとは】
参加者がそれぞれ持ち寄ったハンドパンの中から初めてのパン・スケールを選択。そして練習なしにそのまま参加者の前で即興演奏をする会。
【意図】
アーティストの偶発性が生まれる緊張感ある環境を作って感性を限りなく高める。
そこから引き出される一瞬のインプロビゼーションを記録し、作品として残すこと。
集まった参加者同士の交流。
【日時】
2019年7月13日(土)13時〜20時
【場所】
Studio◯ [スタジオマル]
三重県津市久居新町1123-5
The First Touch Vol.0 (Mie,Japan 2019)
インスピレーションからモチベーション
如何でしたでしょうか?ところでNadishana氏は中国ツアーをきっかけとして新曲を2年かけて書き上げたようです。中国でどのようなインスピレーションが生まれたのでしょうか?
Nadishana氏が新曲『KUAROA』を発表。マオリ語で『遠い昔』という意味。この曲は一昨年の中国ツアー時にインスピレーションを受けて作曲開始。その後2年間練習し続けたという大作。新しい奏法にも注目です。ぜひフルでご視聴下さい。
☼ KUAROA by Nadishana(ロシア,2018)https://t.co/jbq16H6Mm6 pic.twitter.com/EwbQUm4GpB
— 丸いブログ (@marui_blog) December 28, 2018
The First Touchという企画が、プレイヤーさんたちにとって新しい自分の発見、次のステージへの通過点になれば嬉しいです。
ホームに戻ってきた後はインスピレーションから作品へのモチベーション(制作意欲)へ繋がっていくことを願っています。
(煮詰まった時はファーストタッチ!なんて、ゆくゆくはこの企画がそんな風に育っていってくれたらいいなぁ)
Happy Handpan Life!
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【参考文献】
クリエイティビティーを高める音楽制作の動画10本
何か思いつくのは決まってシャワーの中。これって別の時にできないの?